世間の声などあるものか。

私がツイッターFacebookをやらない所為でしょうか。
録画したバラエティ番組以外テレビをほとんどみない所為でしょうか。
インターネットで配信されるニュースなど(事件・事故以外)ほとんどネタだろうと思い込んでいる所為でしょうか。
いわゆる「世間の声」という実態のない安易な表現に懐疑的です。



世間、などという生物はいないし、人間が何人以上集まった時、などという定義もない。
それでも扇動者はツイッターで見た匿名のつぶやきや2ちゃんねるの書き込みを拾って「世間の声」と呼ぶ。
そう呼ぶことで、彼らは自分の放つ言葉がいかにも広く庶民の間で共感されている認識であるかのように、読者を洗脳出来る。
しかも普段は政治経済、事件事故など根拠のある出来事をニュースとして伝えているのを隠れ蓑に、こと芸能スキャンダルやゴシップに関しては好き放題読者を煽って引っ掻き回しているように見える。



ひとしきり吹聴し回った後は少し落ち着いて、また世間が忘れそうになると名前を引っ張り出して来て叩く。
その繰り返し。
その被害者。
スマップの木村拓哉さん。
今もまた、来年4月に公開を控えた主演映画「無限の住人」を宣伝すると見せかけて、彼を叩いています。
叩いているのは「世間」で、自分はそれを伝えているだけであるかのように書いてはいるが、その実「世間」なんてものは存在しないのだから、叩いているのは記事にした人間自身だ。




私は今から木村拓哉さんの味方をします。
ファンではありません。
スマップの事も詳しくありません。
想像と独りよがりなお節介と経験則、独断と偏見をもって彼を擁護します。
スマップのファンとやらは彼を敵視しているらしいですし、
解散を決めた他のメンバー4人についてはネガティブキャンペーンを張らないくせに、
やたらとキムタクばかりを攻撃しているように「見える」ので、
私はそう見せている誰かを叩きます。
本当ならば、一番声を上げたいキムタク自身が沈黙しているので、
あえてここでまた名前を出すことは逆効果かもしれませんが、
そんな事を考えなきゃいけないような影響力のあるブログではないので、
私は勝手に木村さんを応援しています、とここで声を上げます。




来年公開される「無限の住人」という映画は、もともと漫画原作が存在します。非常に優れた画力と物語、テンポの良い台詞回しとユーモアが特徴のネオ時代劇と呼ばれた大傑作です。
その主人公はわけ合って不死身であり、わけ合って物語上ヒロインの用心棒だったりもします。
その原作設定をピンポイントで拾い上げて、

『「キムタクが用心棒? スマップも守れなかったのに?」との世間の声が上がっている。』

というニュースにされていました。
誰が上手い事言えと言った、という突っ込み待ちのつもりでしょうか。
もしかしたら本当に誰かがつぶやいたか、どこかかに書き込みをしたかもしれません。
それを見つけた記者は面白いと思ったんでしょうね。
あるいは自分で考えついて「イケル!」と思ったんでしょうね。



「クッソおもんないぞ」



とだけ返しておきますね。
スマップを守れなかった、などともし本当に思っているのなら、頭が悪いとしか。
いやいや、彼だってスマップなのです。もちろん他の4人のメンバーも含めてですが、木村さんは当事者なのです。そしてそもそも、スマップを守ろうとしなかったのは木村さんじゃあないですよね。スマップの解散を、木村さんは一人蚊帳の外で知らされたんですよね。他のメンバー4人が勝手に決めたっていう話だと聞いていますが、違うんですか。
スマップ解散をめぐり、対立する意見のどちらが、より人として筋が通っているのかについては、以前記事にしましたので、そちらを読んでいただけると助かるのですが、スマップを解散させたくなかったのが木村拓哉だ、という報道を見ているので、全然笑えないですね。
ネット記事などを見ると、どこでも、「裏切者扱いされている」と書かれています。
香取さんと木村さんの対立がニュースになる事が多いのですが、そこの真相は当事者間にしか分からない思いがあるとして、こと「裏切り」という言葉に関しては当て嵌まらないと私には思えてなりません。



飯島女史がジャニースを離脱するにあたって、それが自主的なものであれ更迭のような結果であれ、それを受けて一度はスマップのメンバー全員が彼女について行こう、という意思を固めたのだとします。
その後、木村さんが何を思っての事か、やっぱり事務所は辞めない、という気持ちの変化を起こしたとします。
これは、誰がなんと言おうと裏切りではありません。メンバーそれぞれ、一人の人間としての生き方は本人だけの物であり、自分で決めるものです。誰かと足並みを揃えなければならない理由などありません。
百歩譲って、他のメンバーには「一緒に辞めような」という話を我先に持ち出したにも関わらず、その後相談もせずに突如「やめねーよ」という意思を独断専行で公に発表した、というなら他のメンバーは面食らったでしょう。オイオイ、「ちょっと待てよはこっちのセリフだぞ」と言いたくもなるでしょう。
もしそうなら、メンバーの間に溝が生まれた理由にはなると思います。
しかしお互いに個人活動が忙しい中で、本人の口からではなく周囲から先に、「キムタク、ジャニーズ辞めないってよ」という話を聞かされる順番抜かしがあったかもしれませんし、木村さん自身が辞めないと決めた理由をきちんと他の面子に話せていたら、ここまで拗れることはなかったようにも思います。
何故なら、いくら恩義を感じているマネジャーが会社を辞めたからといって、それに追従する形でジャニーズを辞めるなど、会社の力でここまで大きなアイドルとなったスマップが取ってよい行動ではないと、私には思えるからです。
最終的には独立しても良いと思います。
いつまでもスマップがジャニース所属でなければいけない理由もないと思います。
しかし会社に後ろ足で砂をかけるやり方でなく円満退社出来るなら、です。
それも、そう遠くない未来には可能だったと思えます。
ただ今回のタイミングはその時期ではなかった。
木村さんがそう感じたのだとしたら、私はそれを支持します。
つまり木村さんがジャニースを辞めないという意思を持つことが、誰かにとって裏切りだとは言えないという事です。
考えるべきは、他のメンバーはどう思っているのかと言うことです。
木村さんのせいだ、裏切りだ、スマップ解散だ。
そこに至った真意は、理由は、どこまで冷静に本気なのか。
木村さんの立場や意見について、ちゃんとお互い顔を付き合わて議論したんでしょうか。
どうしても、4対1という対立構造になる理由が、分からないんですよね。
それともそんなに、ジャニーズを辞めたい、スマップを辞めたいんでしょうか。
木村さんだけ、邪魔なんでしょうか。
25年一緒にやってきて、そんな気持ちになる事なんて、あり得るのでしょうか。
まったく、飯島女史ってなんなんですかね。
自分が育てたグループが、自分の進退を切っ掛けににこんな事になって、なんとも思わないんでしょうか…。




今、木村さんはどういう思いで生活されているのでしょうね。
彼のラジオを毎回聞いているファンの方なら知っているのかもしれませんが、以前ほどの覇気や快活さは、今はないのだろうなと想像に難しくありませんよね。
なぜ、このようになってしまったのでしょうか。
対立構造的に言えばジャニーズ側であるキムタクの方が、業界的立場は上のはず。飯島女史側の他4人の方が弱いはずなのに、叩かれているのはキムタクの方。
やはりそこには扇動者の好き嫌いも影響しているのでしょうか。
それとも報道されていないだけで、実は芸能生活が終わるくらい黒いネタが、木村さん側にあるのでしょうか。
一般庶民の私としては、テレビであれネットであれ、表に出て来る情報を自分なりに受け止めて判断せざるを得ないのですが、なんの感情も持たずにパーツだけを組み合わせて考えたとしても、キムタクが悪く言われる理由が分かりません。
可能ならば、木村さんの前に直接飛び出して、
「世間の声なんて嘘っぱち気にしないでください!あなたは間違ってなんかいない!」
と伝えたいです。





不思議なもので、いつも、こういう実在する人や団体の固有名詞を出して記事を書く際には「特にファンではないのですが」という断りを入れているのですが、だんだんとキムタクファンだと言っていいような気にさえなってきます。
いや、既にファンの方から見ればなんの知識もないしなんの実績もないのでファンと名乗るにはおこがましいですが。
そして実際「ファンだ!」とも思っていないのですが、他の4人をテレビで見ると腹が立ってきたり、今回のように「キムタク頑張れ!」と思えてくる自分に、「あれ? これってファン心理?」と首を捻る瞬間があります。





何も知らずに、勝手な思い込みで言いますけど、木村拓哉さんて、


ナチュラルボーン・良い人』


だと思うんですよね。もちろん異論は認めます。
そして彼と対極にいる中居さん、彼はそうではない気がします。
悪い人という意味ではありませんよ。
彼の人の良さって、経験で身に着けた「正しい処世術」だと思うんです。
テレビを見ていて違和感を持つのは、もしかしたら日本中で私だけかもしれませんが、どうしても心から「中居クンて良い人なんだな」と思えない事に最近気が付きました。
順序が逆になってしまいますが先に中居さんの話を続けると、
この方がテレビに出ているのを見て、「あ、素が出てるな」と思ったことが一度もありません。
笑っている顔、怒っている顔、感動している顔。誰かに感謝している顔。
スマップとして、司会者として、コメンテーターとして、たくさんテレビに出ておられますが、どの顔を見てもその向こう側にまだ本気の素顔が隠れている気がしてなりません。
本心は別にある、偽っているとは言いません。
何かニュースに対してコメントをしていても、言葉を選び、理性を持って、その場に相応しい表情をしながら、「これであってるよね」と俯瞰で自分を見ながら話しをされているように見受けられます。
それが良い、悪いの話ではありません。
実際それを実行に移せる人はそうそういないと思いますし、凄い技能の高さだとも思います。
ならば何故「良い人なんだなー」という風に見えないかと言うと、その人間の一番奥にあるものが「善」であれ「悪」であれ、見えない事自体が怖いからです。
言葉ではとても感動的で、他人に対して優しい気持ちを投げかけていても、まだ奥に何か見せていない顔があるんじゃないか、と思ってしまうと、それだけで一歩引いて見えてしまうのです。
実際は、あれだけバラエティ番組で懸命に取り組む姿勢を評価され、共演した芸人さんからも尊敬され、認められている方なので、仕事に対する熱意や彼なりの考え方というものは、称賛されるべき素晴らしく真摯な物だと思います。
しかしその事と、ナチュラルボーンな部分は別だと私は思っています。
よその会社やよその職場の人間にまで認めてもらうにはそれ相応の努力が必要ではありますが、要領さえ分かれば知識と経験で武装する事は可能です。
しかし、生まれ持っての資質とか、幼い頃染み付いてしまった習慣というものは無意識のうちに凝り固まり、自分ではどう変化させることも出来なくなっていくものだと思います。
他人に自分を見せられるか、絶対に見せられないか。




そういう意味で、木村拓哉さんは、ある意味不幸かもしれません。
彼は昔チーマーだったなんて言われていましたが、おそらくびっくりするくらいピュアで真面目な人のように私には見えます。
スマップに対して愛情が芽生えるずっと前から、「アイドル」という役を自分の体に宿し、今日まで演じて来られたように思います。
木村さんがドラマに出る度、「何をやってもキムタクだ」と言われ続けるのは仕方のない話で、それは彼が役者である前にスマップというアイドルとしてとっくに完成しているからなのだと思います。
子供の頃自分に宿したアイドル。
理想のアイドル。アイドルのスタンダード。イケメン。グループの中心。時代の中心。
それをずーっと、アイドル=自分自身になってしまうまで、演じて来られたように思います。
木村拓哉演じる「無限の住人」ではなく、
木村拓哉演じる「スマップのキムタク演じる」無限の住人です。
そこを頑なに崩さず、というか崩せず、時には批判に晒されながら、もがいて来たのが木村拓哉という人なのだと思います。
それを私が不幸と呼んで良いか分かりませんが、そういう側面もある気がします。
いかにもアイドルらしい仕草、アイドルらしい動き、アイドルらしい笑顔。
全てが作られた物のはずが、それでも私には、テレビで見る彼の表情に嘘臭さを感じません。あざとい表情や動きが鼻につく、という人はいるかもしれませんが、彼は常に格好つけてテレビに出演してきました。それが普通だったはずです。そしてそれを視聴者は知っているはずです。
それは彼がナチュラルボーン・良い人で、キムタクを演じる事に喜びと幸福を感じていたからではないかと、私は思っています。
たとえ他人に何を言われようが、「俺、スマップ、俺、キムタク」という誇りが彼にはあったし、そこに強い自信があったから、屈託なく笑え、屈託なく怒って来られたのではないかな、と思います。
彼の一番奥深くにあったのが、スマップのキムタクである、というプライドだったように思うのです。
そんな彼にとって一番大事な物、自分の人生の核になっていたもの、あるいは全て。
その全てが今年一杯で終わってしまう。
確かにそれでも、彼がスマップのキムタクであった事実は消えませんし、人々の記憶には残ります。
しかしこれから先の不安と、淋しさと、もしかしたらあるのかもしれない後悔なんかの感情の深さと痛みを思うと、ファンじゃなくたって「頑張れ!」と言いたくもなります。




頑張れ!キムタク!
私は応援しています!