あの映画を見ない理由。

たまには自分の話でも。



邦画の興行収入ランキングを塗り替える勢いのアニメ映画、「君の名は。」。
原作本もコミックも売れに売れ、ニュースでも何かと話題に上っていますね。
ですが私はおそらく、この先も見る事はないと思います。


「そんなネガティブな事を言いたいだけならわざわざ記事にするんじゃない」


自分でもそう思いますので、誰かに言われる前に書いておきます。
見た後の感想なら書く価値があるのかもしれませんが、見ない理由を滔々と書き連ねる事に意味などありません。
ですので、読みたくない方はぜひ他所へジャンプしていただいて構いません。
意味がある、意義があると思って書くわけではございません。
ただ単に、『私はなぜこれ程までに「君の名は。」に魅かれないのか』をじっくり考えてみた、というだけの話です。
本当にそれだけです。
いつかこれを読むであろう我が子も、もしかすると読み飛ばす可能性を孕んだ書き出しですみません。




もちろん映画を見ていませんし、あらすじも知らないので、内容があーだこーだと言うつもりは毛頭ございません。
ただの天邪鬼、という私の気質も理由の一つに数えられるかもしれません。
流行っているから、余計見たくない。
そこも内包しているのかもしれませんが、まず第一に思い浮かんだ理由が、『映画好き』だから。
とても誤解を招く言い方をしましたが、承知の上です。
世の映画ファンの方達の中にも、君の名は。を大絶賛する人もいることでしょう。
実際見た方の話はこの際どうでも良くて、私のように頭が割れる程毎日何本でも見たいくらい映画好きだけどそんな時間ないんだよね、という社会人にとっては、限りなく見る優先順位が低いぞ、という話です。
実際そうですよね? と誰かに問うてみる。
今映画館で上映されている最新作だけでなく、WOWWOWで放送されて録画済みの映画、この季節になると不思議と見たくなる思い出の映画、毎日でも繰り返して見たくなる大好きな映画、まだ見ぬ過去の名作等、時間的におそらく一生かかっても見る事の叶わない映画が数多く存在するのを知っているだけに…。
ここでそんな映画達の名前を書き連ねていくことは、「君の名は。」よりこっちの方が面白いに決まってるだろ、と宣言していく事と同義になるのでやめておきますが、そういう事です。




それでもあれだけ多くの人が実際に映画館に足を運んで見ているという現実があります。
そこには『年齢的な要因』もあると睨んでいます。
映画館にお金を払って見に行く、という習慣のある人は純粋に映画好きだと言って差し支えないと思います。
デートスポットの選択肢として昔から選ばれてきた場所でもあるので、突発的に見に行った方もいるでしょう。
そういう普段から映画館で最新作を見ることが当たり前になっている映画ファンと、デート先に選んだカップルを除いた、それ「以外」の理由で映画館に足を運んだ人の数が、興行収入の結果を左右していると思われます。
そして今回はおそらく、その大部分が中高生なのではないかと思っています。
全くの推測です。
アニメなので、主人公たちが学生風なので、偏見でそう推測してみました。
しかしあながち間違いだとも思いません。
ジブリ作品ならいざ知らず、テレビ等で絵柄を見た限りでは完全に若い子向きの映画だなーと思えました。
こちとら昭和生まれの40前です。
アニメはもう、見ていません。漫画は大好きですが、アニメは見ません。
面白い面白くないを語る以前に、見るという事がまずありません。
中には、勿体ない、という声もあるでしょう。そうかもしれません。
もちろん子供の頃は大好きでしたよ。
しかし今はもうアニメを見ない代わりに映画を見ているので、時間的な割合で言えば何も損はしていません。
最近、一番最後に見たアニメは、WOWWOWで放送されていた映画版の「聖闘士聖矢」です。これは仕方はありません。だってドンピシャの世代ですからね。それこそ面白い面白くないでは決められません。
「聖闘士聖矢のフルCGアニメ!? しかもサンクチュアリ編!? 見るでしょう!そこは!」
昔、子供の頃に嵌った作品というのはアニメでもドラマでも映画でも、内容や出来不出来に関わらず、思い出の作品としてもう一度触れたいという思いは誰しもが持つようになる自然な感情だと思います。
ましてや年を食えばなおの事、その思いは強まります。
そんな聖闘士聖矢、作品自体は2014年の制作ですが、私がWOWWOWで見たのが今年なのか去年なのかはっきり思い出せません。要はそのくらい前に見たもので、そしてそれ以来アニメは見ていません。
WOWWOWで放送されたタイミング次第では、もっと長い間アニメから遠のいていたかもしれません。
ただ、昭和生まれの40前だから、アニメを見ないという書き方は少し変だなと自分でも思っています。
好きな物に年齢は関係ありませんよね。
しかし一般論として、今どきのアニメ視聴者の主力は、深夜アニメ枠をゴールデンタイムとするオタクな10代から20代の子達で、30代から40代の真正マニアはそんなに数多く残っていないと思うのですが、どうでしょう。
実際私の身の周りの人間でも、30代前半までは「神」と呼ばれたアニメコレクターでさえ結婚を機に随分とその「収集癖」も落ち着いてしまいましたし、環境が変わると趣味嗜好も変わり、のめり込む度合いも緩やかになっていくのを生で見ていましたから、そう的外れな意見でもないように思います。





そしてそして、一番小さな要因。
先程優先順位の話をしましたが、実際に見た方ならばまずここで食い違うはずです。私が知らないだけで、とんでもない名作の可能性があるからです。そう思う方にしてみれば、まず何を置いてでも「君の名は。」を見るべきだ!という意見になると思います。
しかし私は見ません。
何故ならば、『好みのタイプじゃないから』。
これを言ってしまうと、ほとんどそれが理由じゃないか、ただの食わず嫌いじゃないかと思われるかもしれませんが、決してそんな事はありません。要因としてはそこまで比率の大きい理由だとも思っていません。
好みのタイプじゃない映画もこれまでたくさん見てきましたし、そんな映画でも惚れ込んだ作品が幾つもあります。
良い例が、年齢の話です。加齢とともに環境や心境の変化があり、好きな物が変わってきたり、増えたり減ったりする事は人生における真実です。

もともと私は映画のジャンルで言う「ラブコメ」が好きではありません。好きではありませんが、「洋画」となるとそれだけで無条件にハードルが下がります。これが「邦画」だったり「ドラマ」だったりするとほぼ自分からは手を出しません。洋画の場合だと、出演している女優さんが好きだったり、自分の人生タイミング的に幸せな時期だったりすると、浮かれて自分から手を出したりします。そして「おお、意外と掘り出し物だったな」という出会い方に感謝したりする天邪鬼なわけです。
そういう事は非常によくあります。
クリスマスシーズンになると、ホームコメディが見たくなったり。
疲れている時は何も考えずに見れるマーヴェル映画が好きだったり。
時には昔嵌った映画を引っ張り出して見返してみたり。
ホラーは一年中見ますがね。
特別好きでもないラブコメですらバイオリズム次第では見たくなる時があります。
自分の置かれた現状や気分によって映画をチョイスするわけですが、それでも尚「君の名は。」をこの先も見ないと思える理由が、


「このタイプの映画をみたいと思うタイミングが自分の時間にない」


と直感で判断しているためだと思われます。
先日テレビの「ワイドナショー」を見ていて、ダウンタウンの松本さんも「君の名は。」を見たと仰っていたのでびっくりしました。
その時の感想が、おぼろげな記憶ですが
「甘酸っぱい」「忘れていた気持ちを取り戻せる」
ような感覚になる、という事だったように思います。青春映画を大人になって見ると味わう「あるある」です。あとは「音楽が素晴らしい」という意見もあったように記憶しています。ネタバレを考慮してだと思いますが、物語についてはほとんど触れず終いで、結局何がどう良いのかは伝わって来なかったのですが、出演者の方が言う、良かったという反応だけ見れば、「よくできた青春映画なのだろうな」、という印象です。
青春映画は好きではありませんが、嫌いでもありません。
そもそも映画に何を求めるかと聞かれれば『現実逃避』と答える私なので、あまり現実とリンクするようなリアリティのある物語は好きでないように思います。
ハリウッド的青春映画となれば、日本人の私にしてみれば十分「非現実」なので楽しんで見れます。
しかしいくらSFな設定であろうとも、日本を舞台にしていて、高校生くらいの年代で、学校生活が出て来るような、J−POPが流れてくる、アニメ映画を見ることはこの先もないと断言します。
さらに言えば、「甘酸っぱい感覚」「忘れていた気持ちを取り戻す」ために映画を見たくなった時、候補に挙がる映画はそれこそ山ほどありますから。そういう意味でも、じゃあ「君の名は。」を見ようか、という機会はめぐって来そうにありません。




以上、長々と書いてきましたが、私が「君の名は。」に魅かれない理由でした。
それでは今から、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見たいと思います。