親の顔が見てえ

仕事中にありえない光景が。男性社員と立ち話をしてる最中目の前で中学生くらいの少年が鞄の中に堂々と漫画を入れやがった。2人ともばっちり見た。会話がピタっと止まるくらいはっきり見た。ここまであからさまに見ちゃうと、もう馬鹿馬鹿しくなって、店の外に出るのを待たずに少年の前に立ちはだかった。「今いれたもん出せ」少年はきょとんとした、すっ呆けた顔で鞄を開けて、漫画本4冊を出す。「おいおいなんのつもりやねん」「万引きやなあ」と俺たちが突っ込むと、あろうことか少年はこう言い放った。
「いや、買うつもりなんです」
いやいやいやいや、あかんあかんあかん、苦しい苦しい。
「そんなわけないやろー」
「たくさんあったんで鞄の中いれました」
どういうこと?
「レジ通してない商品鞄の中いれたらあかんやろ」
「買うつもりでした」
「今回は(警察に)言わへんけどなあ、次は許さんぞ」
「…すいませんでした(不服そうに)」

どうなってるのか。こいつの感覚は。自分の鞄の中には自分の所有物が入ってるわけだ。その空間に商品を入れる行為が、買い物カゴに品物を入れる行為と同じだと思ってるのか?ただの言い逃れにしか聞こえん。もし、もし本気でそれが許される許容範囲の行動だと信じているならば、こいつを育てた親の顔が見たい。咄嗟に俺は敢えて、さらに追い討ちをかけ、
「それ全部買うんやろなあ?」
と語気を強めて言い放つ。思ったとおり少年は少し虚勢をはって、
「買います!」と来た。
これでもしかすると、帰宅後親に訴えるかもしれない。そうなれば思うツボなんだが。怒鳴り込んで来る親をその上を行く圧力で言い負かしてあげようじゃないか。本来なら黙ってそれをやり過ごし、店を一歩出た瞬間とっ捕まえて警察に突き出す所だが、そこを前歴持ちにさせずに「止めて」あげたのだから。感謝すらしてくれないと。