男の歴史

先日とあるCD屋で物色しているとお宝を発見。なんでこんな所に?と驚いた。さして広い店でもないし、得てしてそういう店の品揃えは流行物の新譜に偏りがちなもんだが、5年くらい前の、しかも流行じゃないバンドのアルバムが新品で並んでた。「えええ!?」と手にとり裏っ返すと50%オフのシールが。見ると、発売してから1年以上経過したアルバムは50%オフのセール中だとか。それにしたって…、どこに眠ってたんだよ。
川村のカオリちゃん曰く、「永遠不滅のフラッグ」。
THE STAR CLUBの「STYLE」というアルバムだ。日本最古参のパンクバンドで、創立から唯一のオリジナルメンバーでありボーカルのHIKAGEさんは、御年52歳(のはず)。考えられない。結構いってるとは思ってたんですが、50過ぎてこの感性にこのボーカルって、何。凄すぎる。77年結成のバンドキャリアが30年以上なので、俺が生まれる前からのパンクマン。気の遠くなるその男の道標は、今でも褪せることなく俺達の胸に響きます。出先から帰ってくる道中、車の中で「STYLE」はリピートを続けて鳴り止まず、何回も泣きそうになりました。HIKAGEさんは若い頃から一貫して「怒り」と「愛」を歌い続けてきた男。時代によって音は様々な変貌を見せるし、アルバムごとに表情を変えて、そして変わらない彼の歌声で歌い続けている。時代と向き合い、30年経っても衰えない気持ちというのが、本当にあるんだということをまざまざと見せ付けられる。
「変わる事を恐れない 時代と向き合うさ 変わらぬ自分であるために」とは彼の歌の歌詞。彼の吐き出す怒りに一緒になって拳を握り、彼の綴る不器用な愛に、心を熱くしてきた。ファン暦10年なんて全然浅いけど、感じ取るものを人それぞれで、その気持ちにファン歴は関係ない、と、思う。
30年やってきた男の言う、「タフになれ」という言葉や、「自分に責任を持て」という言葉がどれだけ真実か、それが分かるから泣けるんだね。
凄い男なんですよ、俺みたいのがどれだけ言葉を尽くしても足りないくらいの。
俺の知り合いの弟さんがね、スゲーファンなの。彼は以前こう言ってました。
「音楽はスタークラブだけでいい。他はいらない」と。
共感できる部分は確かにある。俺自身は色々聞いちゃう人なんだけど、スタークラブの場合出してる音源の数も半端な量ではないし、アルバムごとに音が違い、ジャンルも色々な曲がある。自分の人生の局面において、聞き分けるとしても、十分それだけの量の「歌」が存在するし、音楽界において彼以上の「男」を俺も知らないから。

永遠不滅のフラッグ。なんて素敵な言葉なんだ。
HIKAGEさんを象徴するに相応しい響きだと思います。