「sphinx rose」

ベンジーこと浅井健一のニューアルバム「sphinx rose」を購入、毎日聴きまくる。まずは一言、「良い〜〜〜アルバムですね〜〜」。

今年の秋は、恒例行事としている季節の遊び「秋の日本海、梨狩り」を台風の為に断念せざるをえず、非常に悲しい結果に。しかしこの為に取った連休中の収穫としては十分だと思える程のアルバム。
ベンジーってその天性の詩人気質とか声によって、受け付けない人もいる。ブランキー時代はギタリストとしての彼、親友ベース照井利幸、希代のドラマー中村達也、らの奏でるバッキバキのロックスタイルが混じり合うことでほとんど伝説みたいなバンドになり、ロックをそれほど好んで聴かない人達もどこかで一度は耳にしていると思う。でもバンドが解散してベンジーのソロが発表されるようになって、彼の特異性によって心を掴まれた人も、離れてった人もいるだろう。
彼の中にある心象を、カラフルな「モノ」に例える比喩表現や、絶対的な特徴であるその甲高い声は彼を孤高のロッカーにした。それは強みでもあるし、食わず嫌いの人を寄せ付けない程強烈な特徴でもある。
今回のアルバムを聞いて、ベンジー=ロック、それもバキバキの、ブランキー的ロックであるとか、前作「Rod Snake Shock Service」「CHELSEA」で聴けたベンジー色満載のロックを期待していた人はびっくりすると思う。一聴してアダルト、アコースティック的アプローチ(実際は違うけど)に、期待は良い意味で裏切られる。そう良い意味で。だってこのアルバムめちゃくちゃ格好良いよ。
彼の特徴である類稀なる比喩力はよりストレートな言葉にシフトし、その歌声はとてつもなく優しい。カオリちゃんの事もあって、個人的に色んな曲で彼女を思い出して泣けてくる。リンクしているのかどうかそれはベンジー自身にしか分からないし、おそらくそこは否定するのだろうけど、聴き手の自由として言い張ると、あまりにも…。まあそこはさておき、曲のクオリティ。音作りがどうとか、アレンジャーがどうとか、インタビューの掲載された雑誌では盛に言われてるけど、結局最後にゴーサインを出すのはベンジーなのだから、やはり全ての音、アレンジは彼の中から出たものであると考えて妥当。そう思うと、今回のアルバムを聴いてよりベンジーが近くに感じられて、彼の人柄、暖かさ、でも一筋縄じゃあいかないぜ的クールさもしっかりあって、震えるんだわ。
「チーズバーガー」なんてタイトルの曲があって、これなんかはほんと歌い方一つ、キーを上げればまんまブランキーでもやれそうなノリをあえて今回このテンションで抑えて歌っている。
一曲一曲が粒ぞろいなのは言うまでもなく、今の時代、今の今、彼が思っている気持ちというのがなんでこう優しく響くのか。ロックは生き様だ、という言葉がしっくりくる。
ロックアルバムとか、そういう呼び名を付けるなら、これは間違いなく「ベンジーアルバム」だ。彼の全てがクールに、優しく、人々の体と心を揺さぶる。そんな「良い〜〜〜アルバム」です。
最高だ!
大好きだ!ベンジー