流行を追わなくて良いと楽。

立て続けに邦画を見ました。武田鉄矢主演「刑事物語シリーズ」全5作と、木村拓哉主演映画版「HERO」2作。ラインナップを見て気づいた方もおられる思いますが、そうですWOWOWです。入ってて良かったー。お金に余裕があればスカパー!も加入したいです本当は。番組表だけは見られるのですが、スター・チャンネルがずっと気になっています。
上記の作品をている間、他にも洋画を同じ本数くらい見ているのですが、記憶に残ったのは「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」ぐらいでした。マーベルに限らずアメコミ作品はそこまで熱狂的ファンではありませんが、個人的に「何も深く考えずにボーっと見られる。見終わった後に忘れても良い。エンターテイメントに徹している」素晴らしい映画が揃っていると思います。私のイチオシ、エリザベス・オルセンがキーパーソンとして出ているのも嬉しい。何本か出演作を見てきて、初めてと言って良いくらいの超大作なので、「ああ、頑張ってここまで来たか」と感慨深いです。まだまだ若い女優さんなので、もっともっと活躍して欲しい。シリアスな役も、それこそマンガちっくなキャラクターもこなせる、正統派美人というよりは愛嬌のある顔立ちの、素敵な女性です。皆さんエリザベス・オルセンをどうぞよろしく。名前だけでも覚えて帰って下さいね。
さておき、映画に芸術的センスや哲学的意義などを求めると単純に疲れますよね。そういう心に残る映画を素敵だと思えるにはある程度心の余裕が必要なので、あまり見る機会がありません。(これもWOWOWですが)「アンナ・ハーレント」は映像もストーリーも見せ場も丁寧に作られていて、最近見た小難しい映画の中では文字通り抜群に面白かったです。ただあまり人におすすめ出来ません。前もって「こういうお話ですよ」と知った上で見ないと、興味のない人にはとことんどうでも良い内容の映画だと思います。
相変わらず前置きが長くなりましたが、今回は以前思いきり扱下ろした邦画です。褒めちぎりたいと思います。
最近は「ワイドナ・ショー」で拝見する事が多い、武田鉄矢さん。この方はやはり凄いですね。最近はどうも話の長い、説教ジジイのイメージが先行していますが、もともとは歌手、そして俳優さんです。言わずと知れた金八先生の認知度が凄すぎるのですが、ドラマや映画に出れば必ずと言って良い程、その作品に欠かせない存在と言わせる、ぶっちぎりで演技力の高い御人だと思います。「破顔」という言葉が本当に似合う、個性的で温もりのある笑顔が最高ですが、近年TVドラマ「白夜行」で見せた怖い刑事さん役も凄かったですよね。普段から武田鉄矢最高!と思って生きているわけではありませんが、ちゃんと見れば、「やっぱり凄い」と唸らせてくれます。そんな武田さんの、金八と双璧を成す彼の代表作が「刑事物語」です。原作も武田さん本人が名前を変えて書いています。芝居だけでなく作品を創る才能もある人なのです。
分かり易く端的に説明しますと、ドン臭いけどやる時はやる中年刑事が、色んな地方に飛ばれては赴任先で問題を起こす。何故かいつも女にモテるんだけれども必ず最後にはフラれて一人また旅立って行く、というお話です。シリーズはこれまでに5作ありますが、全部そうです。特に面白いのが1、2です。名作との呼び声高い「刑事物語2 りんごの詩」は本当に名作です。涙なしには見られない。1作目もラストにボロ泣きするのですが、2作目に関しては涙の質が違うのです。
1作目の涙は、切ないけれども武田さんの男気と優しさに感動する涙。
2作目の涙は…。本当に見て欲しいので核心には触れたくないです。
自分なりに思うのは、やっぱり、武田鉄矢さんが演じているから泣ける。笑える。というのが大きいと思います。胴長短足でずんぐりむっくり。作中に於いて「君はダックスフンドだな」と言わせるあたり、ちゃんとご自分の事が分かっている。その上で不器用な男の格好良さ、同時に格好悪さもちゃんと描いており見事に違和感なく演じ切っておられます。「自分、不器用ですから」の名台詞で知られた高倉健さんとは全然違います。本当に不器用で不格好なのです。それなのに、なぜか格好良く見える時があるので驚きです。ほぼほぼ、格好悪いんですけどね。作品を追うごとにコメディ色が強まり、今の武田さんを思わせる絶妙の間でボケて見せる辺り昔から本当に上手いなーと、声に出して笑ってしまう場面も多々あります。
シリーズを通して、オープニングに空撮が多様されていたり、全編地方ロケだったりするのでそれなりにお金を掛けて撮っているのが分かります。毎回違う都市、違う町が舞台なので、出演される俳優さんも武田さん以外全員違います。せっかくのシリーズなのだから、「お馴染みの誰かさん」がいてもおかしくないのですが、見事に誰一人前作を引き継いで出てくるキャラクターがいません。斬新だし、潔い。なのでどこから見てもちゃんと物語に入っていける、粋な構成になっているわけです。
1作目を見ると特に顕著なのですが、この頃の武田さんの演技が、とても優しい。声の出し方や醸し出す雰囲気が、とにかく優しい。キャーキャー喚き散らす十代の女の子に対して、声を張り上げて対抗するでもなく、涙を流して土下座する、売春をやめるようにひたすら説得するシーン。序盤のこのシーンだけで、この刑事物語の方向性というか、武田さん演じる片山刑事の全てを物語っているような気がします。とにかく女性に優しく、弱く、煩悩だってちゃんとある。しかし男には厳しく、強く、過剰暴力。あー、武田鉄矢さんそのまま!という感じがしますね。
そんな武田鉄矢さんの魅力ともう一つ、この映画に欠かせないヒロインの存在。5作品中、8人のヒロインが登場します。1作目のトルコ嬢(若い人分かるのかな)、2作目のりんご試験場の女性、そして喫茶店の女主人。3作目の民宿親子、4作目の妊婦、5作目のエアロビ姉妹。人それぞれ思い入れはあると思いますが、私としては、ぶっちぎりで2作目「りんごの詩」ヒロイン、りんご試験場の石戸谷忍が好きです。役柄による贔屓目もあるかもしれませんね。誤解を恐れずに言えばこの刑事物語シリーズに出てくるヒロイン達は、漏れなく薄幸の佳人という設定です。(元気ハツラツ&可愛さ爆発の沢口靖子さんですら設定は不幸です)そこへ来て、当時新人だった園みどりさん(未來 貴子さん)の初々しい可憐さが役柄とばっちり嵌って、好きに成らざるを得ない可愛さなんですよね。
この映画、全てにおいて「昭和」です。
街並みも、ヒロインの顔立ちも、ストーリー展開も、セリフ回しも、全てが昭和。だけどもそれは平成の今、30年以上前の色褪せた映画を見れば誰もが時代の流れを見て取れる、というだけのことであって、「刑事物語」自体が持っている本来の魅力というのは、一切時代を感じさせない普遍的な物だと改めて思いました。今見てもこれだけ面白い、これだけ笑えてこれだけ泣けるんだから、古さや新しさ、流行や撮影技術などでは推し量れない人間の営みを丁寧に描く事の大切さが分かります。
今若い人達が見てどう思うかなー。
きっと爆笑から入ると思います。
「画質汚ねー」
武田鉄矢若い時から不細工」
「え?まじでこれがヒロイン?」
「いやいやそんな事今じゃありえないから」
なんて突っ込み入れまくりながら見る事でしょうね。目に浮かびます。
しかし最後にはきっと、うっすら涙を浮かべる事になると思います。悔しいくらいに感動するでしょう。何度も言いますが、古いとか新しいとか、若いとか年食ってるとか、そういう事で変化しない基本的な人間の感情を揺り動かすのが、この映画の素晴らしい所なのです。
さあ、見たくなりましたね?皆さん、「刑事物語」をどうぞよろしく。名前だけでも覚えて帰ってくだしつこいですね、すみませんでした。




「HERO」という作品も、もちろん名前は知っていたのですが、ちゃんと見た記憶がありません。そもそも連続ドラマを見続ける習慣がなくなっており、ワンシーズンに1作あるかないかが現状です。ちなみに今シーズンは「ディアスポリス」という深夜ドラマのみ録画した物を見ています。松田翔太大好きです。お兄ちゃんも大好きです。お父さんはそうでもないです。話が逸れました。
登場キャラの設定を知っていたので、もしかすると何話か昔のドラマを見ていたのかもしれません。世間程、木村拓哉さんに対する好き嫌いや思い込みがないので、今回の映画2作も面白く拝見しました。特に最初の方、2007年版の映画は本当に面白い。ちょっとびっくりしました。割と最近(と言ってもほぼ10年前)の映画にしては、お金の使い方が上手いです。登場人物達は連続ドラマから引き継いでいるので、そこにお金が掛かるのは仕方がない。今見ても物凄い豪華なメンツですし。ただそういう豪華なメンツで映画を撮ろうとすると、やたらスケールアップして映像美に力を入れすぎたり、大掛かりな海外ロケを強行したりでストーリーがスッカスカになる事が多い中、バランスが最高に良かったですよね。まずストーリーありきの映画なんだな、というのが張られた伏線の多さや、回収の巧さで分かります。ドラマファンへの配慮やキャラクターの個性を際立たせるシーンなど、細部にも気を配っているのが分かる構成、見事だと思います。だけど結構特殊な成功パターンだと思います。脚本が本当に面白くないと、ただのドラマの延長だし、ドラマを見ていない人には全然伝わらない可能性もある作りでした。サービス精神で色々な要素を詰め込んだおかげで気が散るなーと感じる所もありました。途中韓国ロケに行ってみたり、あまり本筋には絡んでこない中井貴一綾瀬はるかのシーンを挟んでみたり。ちょっとポカーンとなる場面もありましたが、そこは単純に、木村拓哉さんと松たか子さんお二人のコミカルな演技を楽しめますし、ラストへの伏線も絡んでいるので仕方がないと言えば仕方がない、のかな。そうそう、今回HEROの事をあえて記事に残そうと思ったきっかけは、松さんです。
松たか子さんです。松さん、好きです。
ずばり、顔と声が好きです。喫煙者だとか、プライドが高いだとか、北川景子さんの挨拶を無視しただとか色々噂されていますが、私には関係のない話なので問題ありません。大好きです。
そうです、それが言いたかった。松たか子さんが好きだ、という事だけ書き記す事が出来ればそれでいい、忘れないうちにこの気持ちを書いておこう、それだけです。
正統派美人ではないかもしれない。もう若くもないかもしれない。既婚者だし確かお子さんもいますよね? アイドルを追っかけるようなピュアな気持ちで好きだ、という訳ではありませんが、日本の女優さんの中では今改めて思うとダイーーーーーーブ好きです。
以前「タモリ倶楽部」に出演されて、空耳アワーで爆笑する素の松さんを見た時も、「好きだ!」と思いました。普段ドラマとか舞台とか見ないので、こういう何か作品を見たきっかけでしか認識しないのですが、今回映画版「HERO」を見て、ラストシーンの木村拓哉さんとのキスで終わる映に「おおー!ハッピーエンドー!」と初見ならではのウブな盛り上がりに胸が熱くなりましたよ。そして今静かに松たか子ブームが自分の中で盛り上がったわけです。しかし…。しかしですよね。
分かる人はもう分かりましたね。
そうです、2015年版の映画「HERO」において、木村拓哉さんと松たか子さんは、お別れになりました。
2007年版で、「約束します、もう離しません」と誓ってキスまで交わしたのにね。解釈にもよると思いますが、要は結婚より仕事を取る、という選択なんですよね?
馬鹿な!仕事も結婚も取れよ!
という訳で、松さんのハッピーエンドが見れないというその一点のみで、2015年版、映画「HERO」はもう二度と見ません。
松さんを不幸にする映画なんて見ない。
木村拓哉さんに恨みはないし、彼は悪くない。脚本が悪い。
そして今後HEROがなんらかの形で復活するとしても、松さんとくっつかないのであれば見ません。


今の心境を、吉田拓郎が歌にしてくれています。
それではおやすみの前に、youtubeかなんかで見て下さい。

吉田拓郎で、「唇をかみしめて」。