「信念の人」

初めこの記事を書く時、タイトルを「絶対の自信」という言葉にしていた。先日購入してようやく見終わったばかり、KOKIAのDVD「Wherever I am」。
KOKIAという女性を一言で言い表すとするならどんな言葉がピッタリ来るのだろうと悩んで、「絶対の自信」というのが浮かんだ。浅く、上っ面だけ受け取れば高慢に聞こえるような危険を孕んだ言葉を、彼女はいつも自分に言い聞かせている。
「私には与えられた声がある。だから歌う。自分は歌う人、だから」。
嫌味に聞こえるかもしれない。彼女はそれを恐れてもいるし、その一点を強く信じてもいる。だけど、人は本当に自信があれば、何度も自分に言い聞かせたり、人に言って聞かせたりする必要などない。やっぱり、誰でもそうかもしれないけれど、人は自分の思う理想や信念を、口に出したり形に残したりして、何度も再確認しながらそれを指針に生きているんだと思う。きっと彼女もそうなんだろう、と思う。勝手に思うだけだけど。
「この世には色んな音楽がある中で、人に夢や希望を与えるという点で言えば、それを担ってる音楽もミュージシャンもたくさんいると思う。その中で何故KOKIAなのか。どうしてKOKIAじゃないと駄目なのか。その部分だよね」
と彼女は言う。音楽に何を求め、求めるものを満たしてくれるのが何故彼女なのか。それは彼女の歌に心を打たれた人にしか分からないと思うけど、深い所で、KOKIAと、KOKIA以外のミュージシャンには歴然とした違いがある。そう思えてならない。
小さくて、甘いものが好きで、愛されるべき容姿ではあるけれど、しかしそれらの特徴は別にどこにだって存在するし、彼女だけが特別じゃない。
やっぱり、自分で歌詞を書いて、自分でメロディをつけて、自分で歌う。
そこに込められた気持ちの強さと、表現力、歌唱力。歌に関する全ての必要な要素が圧倒的なんだと思う。「パンクロックは生き様だ」という、反逆精神や初期衝動を言い表した言葉が存在するけれど、まさに、KOKIAの生き様が「歌う人」なんだろう。それがこのDVDを見るとよく分かる。それは職業ではなく、趣味でももちろんなく、生き方。もちろん、CDを出して、コンサートをする以上金銭が絡んでくるし、その収入で生きているんだけれど、その価値以上に、自分の為に、自分の存在が自分を求める人の心に届くように、それを信じて生きている。
歌が歌える、んじゃなくて、歌う事で生きている。痛いくらいそこにかけている。人生を掛けるに値するものを見つけて、全身全霊で生きている。
いつか生で歌を聞きたいなー。
どんな風に感じるんだろーなー。