クリアと読了の感想

Wii版「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」クリア。こういう最近のゲームのご多聞に漏れず、クリアと言ってもまだやる事はたくさん残っている状態なわけですが、ひとまずエンディングロールは拝めたので、クリアって事で!かなり良作だと思う。今まで経験したことのない感覚のゲームだった。ゼルダ自体初めてプレイしたし、Wiiを購入して遊んだ初めての本格的なゲームという事もあって、操作性から滑らかな動きから、ストーリーも含めて楽しめました。数年前の作品なのに5000円代で中古が出回ってるのも、納得の出来。

ちょっと前に買った新潮文庫「空のオルゴール」を読了。大好きな中島らも。もうこの先2度とこんな人は出てこないよね。今回もらも節というか、この常に酔っ払いながら書いてるような文体は、癒される。まったく題名と物語は噛み合ってないけどね。びっくりしたわ。晩年の作品なわけですが、書いてる途中から、著者自身「これは面白いのが出来そう」とエッセイで仰ってらした。が、愛読してきたファンから言わせてもらうと、これは下書きの段階で世に出しちゃったんじゃなかろうか。雑すぎる。張り巡らせた伏線ぽい設定もぼやけたまま終わったりする。話は面白いんです。山田風太郎の「甲賀忍法帖」へのオマージュとして書かれた作品で、設定も単純、敵とミカタがはっきり分かれた殺し合いの話。重くなりすぎないようにくだらない会話やくだらないエピソードもふんだんに織り込み、一人、また一人と登場人物は死んでいく。緩急をしっかりつけ、設定を活かしきり、表現にももう少し粘りを銜えたら、傑作になっていたと思う。そこへ到達する前の段階で、ストップしている気がする。巻末の資料文献を見ると結構な数だ。下調べ大好きな人だから面白がってずっと本読んでたんだと思うけど、それでも物語に活かせるヒントやアイデアは山ほどあったろうに。勿体無いな。一流のエンターテナーだった人だから、ただ読者が笑っていればそれで良いのかもしれないけど、中島らもという人の才能は、今の時代に追いつける人などいないと思えるレベルだった。だからこそ。後半の、ほとんど舞台の脚本のような文章に、ああ、ちょっと疲れちゃったのかな、と一抹の寂しさを覚えながら、そのままスルスルと読み終えてしまった。でも先生、相変わらず面白いです。先生の目指したエンターテイメントがそこにありました。
「あー、面白いもん見たなー。さ、飯食いにいこ」
余韻を引きずらない。がつんと笑って、からっと忘れる。そんな面白さは、十分にありました。